提案理由
2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行は、私たちの生活様式を一変させ、その対策として手洗い、手指消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンスなど、新しい生活様式の実践が求められた。感染症や食中毒の多くは手を介することが多く、手洗いは誰もが容易に実践することができる効果的な予防策である。
国立医薬品食品衛生研究所の調査では、手洗いを行うことにより、手に残るウイルス数は激減するとされている。手洗いなしで100万個のウイルスは、流水15秒手洗いで1%、10,000個に。石鹸60秒もみ洗い後、流水15秒手洗いで0.001%、数10個に。石鹸10秒もみ洗い後、流水15秒手洗いを2回繰り返すと0.0001%、約数個まで激減するといわれている。一方アルコール消毒は新型コロナウイルス感染症対策として有効であるとされているが、十分でないという調査結果もある。また、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎に対しては有効でないともいわれており、手洗いに勝るものはない。
このようなことから、新型コロナウイルスのみならず、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症・食中毒から市民を守るには、有効な手洗いの知識を市全体で共有すること、また有効な手洗いが実践できる環境を整備することがなにより重要である。
また、人々が手洗いの学びを通してウイルスや菌が「どこから、どこへ、どのように」運ばれていくのかなどを知ることは、自らの健康維持のみならず、食の衛生への関心を高め、食育にも繋がる。あわせて、現在減少傾向にあるインフルエンザやノロウイルス感染症の感染者数も将来、新型コロナウイルス感染症が終息し、人々の記憶が薄れると増加することが予想され、ひとたび感染症や食中毒が流行すると一定期間子どもたちの学びの環境が失われることになる。有効な手洗いの習慣化は将来の子どもたちの学びの場を保障することにも繋がるものである。
私たちはこのようなことを新型コロナウイルス感染症によってあらためて認識させられたが、この間の苦難とともにこれらのことをしっかりと後世に受け継ぐためにも本条例を提案する。
■うがいを入れなかった理由
うがいは共有の手洗い場やトイレの洗面所でうがいをすると口に含んだものを吐き出す行為がかえって感染リスクを高めることから条例化して推進することが望ましいとは言えない。
■マスクを入れなかった理由
マスクアレルギーや皮膚疾患などでマスクが出来ない人もおり、条例化して推進することが望ましいとは言えない。
■手洗いの日「15日」の根拠
月初や月末ではなく、月の真ん中に置くことであらためて認識を高めることが出来る。また、10月15日は世界手洗いデーとなっており、同月はより効果的な周知が可能。